コラム
もっと分かりやすい解説を! 第6 債務の相続も,遺産分割の対象にはならない
2016年5月18日 公開 / 2018年8月9日更新
家事審判官
「債務の相続のことでも,議論があるようですね。」
乙
「はい。父(被相続人)には,銀行債務が300万円残っていますので,その債務は,甲が相続するように遺産分割をしてほしいのです。甲には,資力があり,私にはないからです。債務は,会計用語では,負債といわれ,負債のことは一般的には消極財産といわれているのですから,いわば消極遺産といってもよいものでしょう。」
家事審判官
「遺産分割でいう遺産には,債務は含みません。遺産は,積極財産だけです。なお,債務は,家賃などの賃料債務は別として,分割債務になり,全相続人が,相続分の割合分だけを,分割されて相続しているものですから,あなたは銀行債務300万円の三分の一である100万円の支払義務がありますよ。なお,賃料は別だと言ったのは,賃料債務は,不可分債務になるので,全相続人が全額を弁済する義務があるというのが判例(大審院大正11.11.24判決)だからです。」
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