他の相続人名義の財産を,遺産だと主張する相続人
1 法を無視した遺産分割の要求
これは,私が調停委員をしたときの事例です。
申立代理人弁護士
「申立人(兄)は、自宅と預金の全部を要求していますので、調停委員さん、弟を説得してください。」
調停委員(私)
「呆れましたねえ。あなたは弁護士でしょう。法定相続分をはるかに超える遺産分割を求める発想はどこから来たのですか?」
弁護士
「調停委員さんは、説得することがお仕事でしょう。弟さんを説得してくださいよ。」
調停委員
「いいですよ。では,一番先にあなたを説得しますよ。この調停の申立てを取り下げられたらいかがですか?」
この調停は、その次の期日に、同じ問答を繰り返した後、申立代理人から取り下げられて、終了しました。
無論、調停委員である私は、監督者の家事審判官に相談の上、以上の勧告をしたものです。