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建物賃貸借契約における,敷金と建設協力金は違う性格

菊池捷男

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テーマ:不動産法(賃貸借編)

Q 私は,今般,甲から,借家人(乙)がいる建物とその敷地を購入したのですが,乙は,甲に対し,敷金と建設協力金を差し入れています。
(1)将来,乙が借家契約の終了に伴い借家から退店するときは,私は,敷金を乙に支払う義務があるのですか?また,建設協力金も支払う義務があるのですか?
 (2)また,甲と乙との建物賃貸借契約では,乙は建物を自由に転貸できると定めていますが,私が所有者になった後も,乙は建物を私に無断で転貸できるのですか?

A 
(1)について
 敷金の支払義務はありますが,建設協力金の支払義務はありません。
(2)について
 乙は自由に転貸することができます。

(理由)
 借家人は,借家の引渡を受けただけで,その所有者が変わっても,新所有者に対し,借家権及び借家契約の履行を請求する権利があります。つまりは,新所有者は,借家賃貸借契約の,貸主の地位を承継するのです。
ですから,借家人乙は,借家から退去したときは,その時の所有者であるあなたに対し,敷金返還請求ができ,さらに,建物賃貸借契約で,転貸が自由にできると定めている場合は,所有者が変わっても,転貸は自由にできます(最高裁昭和33年9月26日判決)。

 しかしながら,建設協力金は,旧所有者甲と借家人乙の間に結んだ,金銭の消費貸借契約によって,貸したお金でしかありませんので,建物の新所有者が引き継ぐものではありません。ですから,あなたは返還義務はありません(最高裁昭和51年3月4日判決)。

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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