相続と登記 9 遺留分減殺請求と登記
ここで,A氏いわく。
A氏の言
私は,妻や子に,何を分け与えるかを,考え詰めていないのに,それでも,弁護士さんに相談するこ,これだけのことが書けるのですねえ。・・・では,今度は,誰に何を相続させるかをじっくり考えて煮詰まったときに,相談にきますよ。
そこで,私からアドバイス
私
財産を具体的に特定して,何を誰に相続させるかを考えるのは,結構難しいものですよ。その前に,遺言書を書くあなた自身の,財産分けの基本的な考えを,自問自答してみてはどうですか?
あなたには4人のお子さんがあられるということですが,お子さん達には,平等に財産を相続させたいのですか?
A氏
基本的には,子供たちには,平等に財産を分け与えたいけど,子供達の間で,経済力に差がある現状を無視することもできないので,経済力の弱い子には,それなりの配慮をしたいと思っていますが・・・
私
では,そのことも遺言書に書かれたらどうでしょうか。次に具体的な遺産分割方法を遺言書に書く前に,あなたが亡くなることもあり得るのですからね。あなたの遺産分割に向けた気持ちを遺言書に書かれると,具体的な遺産分割の方法を書かれないであなたが亡くなられても,子供さんにはお父さんの意志が分かっていることでもあり,あなたの意思を尊重した遺産分割をされると思いますよ。
という言葉のやりとりの後,この日の最後に,A氏は,遺産分割の基本の考えを書かれ,結局,この日の書かれた遺言書の内容は次のようなものになりました。
遺言書
一 これまで妻や子に贈与した財産及び妻や子の名義にした財産並びに今後する贈与財産はすべて,その贈与を受けた者や名義人のものであり,これら財産については持戻しを免除する。
二 自宅内にある動産及び・・・銀行・・・支店にある貸金庫内にある動産はすべて妻に相続させる。
三 ・・・にある別荘内の動産は,遺言により別荘を相続する者に相続させる。
もし,本遺言書の効力が生ずるまでに遺言による別荘の相続人が決まっていない場合は,妻に相続させる。
四 この遺言書の効力が生じた時に,まだ結婚をしていない子がいた場合は,その子一人につき○○○○万円を相続させる。
五 前三項の財産についても,持戻しを免除する。
六 その余の財産について一言書いておく。
私は,子供達は皆,大切な宝と思っているので,その間にいささかも差別する気持ちはない。しかしながら,子供達の間に,経済力の差があるのは,いかんともしがたい現実であるので,私の遺産を子供達に相続させるにあたっては,子供達の経済力を少しでも埋めるべく,経済力のある子には少なく,経済力のない子には多く,財産を相続させるつもりである。具体的には,今後決めることにする。
平成28年1月4日
A ㊞