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コラム

新年最初のお客様① 持戻し免除の遺言書を作成

2016年1月4日

テーマ:相続相談

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 遺言書 作成遺言書 書き方

本年最初の相談は,A氏による相続相談です。
A氏いわく。

 今年は遺言書を書くことにしたが,誰に何を相続させるかを全く決めていない。この場合,何を書けばよいか?
と尋ねられましたので,私は,

 持戻し免除の遺言書だけでも書いておいたらどうですか,と勧める。
A氏
Q 持戻し免除の遺言書とは何?
そこで,私,
A 
 持戻し免除の遺言書とは,遺産分割の際,生前贈与を無視してもよいという遺言書です。
 あなたは,これまで,子供さんたちに,大学入学時や,結婚時に,それぞれ金銭的な支援をしていると思われます。また,
他の機会に,何らかの理由で,子供さん全員又は一部の人に生前贈与をしているかもしれませんが,あなたが遺言書を書かずに亡くなられた場合は,これらの生前贈与分は,相続財産の先渡しとみられ,遺産分割の際相続財産の中に加えられる(持戻し計算がなされる)ことになるのですが,生前贈与の有無や範囲については,把握が難しく,もめることが多いのです。
 そこで,この紛争を避けるためにも,遺産分割は,生存贈与分を無視してする(相続開始時のA氏名義の財産のみを,法定相続分で分割する)という意味になる“持戻し免除”の遺言書だけは書かれた方がよいと思いますよ。後は,これら生前贈与分も考慮にいれた遺言内容を決め,順次遺言事項を追加していったらどうでしょうか。
遺言書は,なにも一回ですべてのことを書く必要はありませんからね。

かくして,A氏は,次の遺言書を書きました。

遺言書

一 これまで妻や子に贈与した財産,妻や子の名義にした財産はすべて,その贈与を受けた者や名義人のものであり,これら財産については持戻しを免除する。

                                平成28年1月4日
                                               A  ㊞

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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