(補説) 固定資産税等が高いと思ったときの争い方
サラリーマンが,銀行融資を受け,住宅を建てたいと思い,土地分譲会社へ行く。土地分譲会社は,親切にも,融資が得られない場合は契約解除ができますよ,手付金も全額お返ししますよ,と言ってくれたので,その旨が書かれた(ローン特約付き)土地売買契約を取り交わしたが,さて,その後,気が変わって,土地の売買契約を解除したく思った。そこで,ローン特約のあるのを幸い,融資を受けなかったことを理由に,土地売買契約の解除を申し入れた。その結果どうなるか?
手付金が返還されるどころか,手付金は違約金として没収されるのが,オチになります。
1,ローン特約の趣旨
東京地方裁判所平成9年9月18日 判決は,ローン特約の趣旨を,買主が,融資を受けるべく真摯な努力を尽くしたのにもかかわらず,資金調達できなかった場合に、買主保護のために,売買契約解除を認めるというものであると判示しています。
ですから,「融資を受けるべく真摯な努力を尽くしたが,融資を受けることができなかった」という条件を満たさないと,売買契約の解除はできないのです。
東京地方裁判所平成16年7月29日判決も,買主が銀行への融資申込みに意欲を示さなかったことを理由に,買主はローン特約の保護に値せず,手付金を没収されてもやむを得ない,と判示しているのです。
2 考えねばならないこと
仮に,土地分譲会社が,特定の金融機関との間に,融資条件を満たしている土地の買主に対しては,申込みがあれば融資をする約束をしているような場合(これを「提携ローン」といいます。)は,その提携ローンを受けようとしても,なお,融資が得られないというところまで,買主が努力をしないと,簡単には,売買契約の解除はできないと思われます。
この場合,買主が考えるよりも,厳しい融資条件(金利などについて)であっても,です。
ですから,高い金利のローンは受けたくないなど,希望があれば,ローン特約の中に,金融機関を特定するなどの工夫が要る場合もあるでしょう。
例えば,「本件土地売買契約は,買主が,売買代金の全額(一部であればその金額)を,○○銀行から融資されることを条件に締結するものとする。」というようにです。
ゆめ,ローン特約条項を,甘く考えるべからず,です。