(補説) 隣家の住人が難しい人や怖い人であれば,これも瑕疵
夢を育み,愛を育て,明るい明日に思いを馳せる
不動産の買主様へ
それらを無残に破るものがある
それが瑕疵
瑕疵問題を知るべし
夢破れて山河あり,にならないために
欠陥のある不動産を,法律用語としては「瑕疵ある不動産」といい,このような不動産の売主には,そのことに故意も過失もなくとも,買主に対し責任を負います。
これを「売主の瑕疵担保責任」といいますが,責任の内容は,売買契約を解除される責任と,損害賠償をする責任になります。
このうち売買契約を解除される責任は,その欠陥(瑕疵)があることで,売買契約の目的が達成できない場合です。
では,売買契約を解除されるほどの瑕疵,つまりは買うべからず不動産とは,どのような不動産なのか?
不動産実務の現場には,面白い事例もあります。
⑴ 二条城が見えるはずだったのに見えなかったマンション
大阪高裁平成11.9.17判決の事案ですが,マンション分譲会社のパンフレットには「上階からは二条城の眺望が広がる」と書いてあり,会社従業員の説明では,そのマンションの西隣には五階建てのマンションはあるが,買主が買いたいと考えたマンションの住戸(専用部分)は西端の603号室であり,隣のマンションよりも高い位置にあるので,西の方角にある二条城はよく見える,というものだったので,そのマンションの住戸を買ったものの,入居してみると,西隣のマンションの屋上にあるクーリングタワーが603号室からの視界を大きく妨げていたという事案です。
判決は、売買の目的物を現物で見ることのできない買主には正確な情報を提供されなければならないのにしなかった分譲会社の責任を大きく見て,買主からの売買契約解除を認めました。
⑵ 「全戸オーシャンビュー」に電柱、電線という障害物があったマンション
これは福岡地裁平成18.2.2判決事案です。
「全戸オーシャンビューのリビングが自慢です。」との広告を見て、分譲会社を訪問した顧客が、3階の住戸301号室と5階の住戸501号室がまだ売れていなかったのでそのいずれかを買いたいと思い、分譲会社の従業員に尋ねますと、従業員は、いずれの部屋も眺望に違いはありません、と答えたので、301号室を購入しました。
ところが、入居してみると、301号室の前には電柱が立っており、そこから3本の電線がベランダに沿って水平に走っていたのです。
判決は、売主の説明義務違反を理由に、売買契約の解除と手付金、オプション工事代金の損害賠償を認めました。