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マンション㉕ 普通決議でできる工事と特別多数決議を要する工事

菊池捷男

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テーマ:マンション

1 周期的,計画的な修繕工事は大規模なものであっても普通決議で可能
 区分所有法17条1項本文は,「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。」と規定しています。
 これによれば,共用部分の変更は,管理組合の特別決議を要するが,その場合でも「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」は普通決議でできることになります。
 実は,この規定の括弧内は,平成14年に改正されるまでは「(改良を目的とし,かつ,著しく多額の費用を要しないものを除く)」となっていたのですが,この規定の下では,周期的,計画的な修繕であっても,大規模改修工事は,特別決議が必要になっていたのです。

 そこで,平成14年改正法で,大規模修繕であり,多額の費用を要するものであっても,マンションの形状又は効用の著しい変更を伴わないものは,普通決議でできることにされたのです。
 かくして,計画的,周期的な大規模修繕は普通決議で可能になったのです。

2 特別多数決議を要する「変更」の意味と例
なお,特別決議を要する「変更」とは,形状又は効用の著しい変更をいい,具体的には,階段室を改造してエレベータ質にする,集会室を廃止して貸店舗にするなどが例に挙げられています。

3 その他
 普通決議でよいとされている例としては,光ファイバー・ケーブル敷設工事,バリアフリー化工事,耐震基準を満たすための改修工事のうち柱や梁に炭素繊維シートや鉄板を巻き付ける工事)が挙げられています。
なお,耐震工事でも,1階の柱の下部を全部切除して免震部材を挿入する工事は,特別決議が必要であるとされています。

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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