マンション⑪ 建物の設置又は保存の瑕疵に関する推定規定
東京地裁平成2.1.30判決は,管理組合の規約で,区分所有者が冷暖房費を含む管理費を支払わない場合は給湯制限ができるとの規定を定めた場合,その定めは有効であるとした上で,その規約の適用については,「給湯という日常生活に不可欠のサービスを停めるのは、諸経費の滞納問題の解決について、他の方法をとることが著しく困難であるか、実際上効果がないような場合に限って是認されるものと解すべきである。」(「」内は判決書の引用。以下同じ。)とし,管理組合から委託を受けた管理会社は、「給湯停止前に、冷暖房の供給停止を条件に、それまでの管理費及び冷暖房費の滞納分の支払を求める交渉をしてしかるべきであった。」のにそれをせず,他にも,管理会社は,区分所有者に「管理会社に対する不信感を抱かせる原因」を作るなど,区分所有者に「対する対応は適切を欠いたもので、本件給湯停止の措置は、権利の濫用に当たるものといわざるを得ない。・・・本件給湯停止の措置は、原告らに対する不法行為となるというべきである。」と判示しています。
ここから分かることは,管理組合の規約に,冷暖房費などの費用の支払いをしない区分所有者がいる場合は,給湯など冷暖房の供給を停止することができると規定した場合は,その規定は有効であるが,その適用の要件を厳格に定めること,その適用に至るまでの手続を適正なものにすること,の二点が要求されているといえるでしょう。