離婚 認知症の人の離婚・離縁,婚姻無効・養子縁組無効
Q 今般離婚することになりました。自宅があるのですが,夫である私の名義になっています。購入資金は3500万円ですが,時価は3000万円に下がっています。購入資金3500万円のうち1000万円は私の親が出してくれたものです。
この自宅についての夫婦共有財産額を教えてください。
A
3000万円×(3500万円-1000万円)÷3500万円=2142万円(1万円未満切り捨て)になります。
解説
⑴ 財産分与は,①夫婦が婚姻後築いた財産(夫婦共有財産)を特定して,➁財産ごとに評価して,③その合計額に,④財産分与率を乗じて,⑤夫婦それぞれが分与を受ける金額を確定し,⑥その金額に一致するように,⑦個々の財産を夫婦に割り当てていく方法になりますが,これは遺産分割をする方法と同じ方法になります。
⑵ 不動産を購入したが,その資金の中に,夫婦共有の財産以外の財産(婚姻前から持っていた財産=特有財産や,親からの援助金)が含まれている場合は,
離婚時の不動産の評価額×購入時の夫婦共有財産からの支出金額÷購入代金額の計算式で算出された金額になります。
大阪高裁平成19年1月23日判決は,
ア 自宅マンションは5020万円で購入(離婚時の評価額は3785万円),
イ 購入資金のうち1681万円は夫の特有財産を充てた
ケースで,
3785万円×{(5020万円-1681万円)÷5020万円}=2517万円(1万円未満切捨)」
が,自宅マンションの夫婦共有財産分と判示しました。
東京家裁平成20年5月12日判決は,
夫名義で購入した土地の購入時の代金は1500万円(離婚時の評価額は1630万円)で,そのうち700万円は婚姻後の夫婦共有財産から支出し,800万円は夫の母親が出したケースで,
夫婦共有財産は,
1630万円×700万円÷1500万円=760万円(1万円未満切捨て)。
になると判示しました。