相続相談 41 相続分の譲渡と贈与税
1,しばしば生ずる使途不明金問題
遺産分割の調停では、使途不明金問題が提起されることはしばしばあります。
被相続人の生前、被相続人の財産、特に預金、を管理していた相続人が、被相続人の亡くなる前の時点で、その預金を引き出し、使った、とか、隠匿した、とか言われる問題です。
2,使途不明金と遺産分割との関係
(1)使途不明金が、隠匿されている場合
その隠匿された財産は、被相続人の財産ですので、遺産分割の対象になります。
(2)使途不明金が、被相続人に無断で、特定の相続人又は第三者によって費消されたものである場合
その場合は、被相続人が使途不明金を費消した者に対し、損害賠償請求権又は不当利得請求権を有することになりますので、その請求権は、相続財産になり、遺産分割の対象になります。
(3)使途不明金が、被相続人から特定の相続人に生存贈与されたものである場合
この場合は、相続人が特別受益を受けたことになりますので、被相続人が特別受益の持戻し免除の意思表示をしていない限り、遺産分割の際の具体的相続分を算出するときに持戻し計算がなされ、生前贈与を受けた相続人は、その特別受益分だけ、具体的相続分が減額されることになります。
(4)あるはず論について
使途不明金を特定できず、「他にも相続財産があるはずだ。」という主張が、一部の相続人からなされた場合、裁判所は、採用しません。そのような使途不明金はないものとして、調停や審判が進められます。
要は、使途不明金の存在と特定は、使途不明金があると主張する相続人に立証責任があるのです。