相続相談 相続放棄と未支給年金の取得
1,遺言書が、推定相続人の廃除の場合
人は、誰でも、相続人になろうとする者が、財産を相続させるにふさわしくない非行をしていた場合、推定相続人の廃除の請求ができますが、民法893条によって、遺言書ですることもできます。例えば、「私甲は、長男丙が私を虐待したので、相続人から廃除する。」というような遺言書の場合です。この場合は、遺言執行が財産に関するものではないため、遺言執行者には、相続財産調整義務はありません。
参照:
民法892条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
民法893条 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
2,遺言書が認知の場合
認知は、遺言書によってもできます。この場合は、遺言執行者から認知の届出がなされることになっています。 この場合も、遺言執行が財産に関するものではないため、遺言執行者には、相続財産調整義務はありません。
参照:
民法
第781条 認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
2 認知は、遺言によっても、することができる。
戸籍法64条 遺言による認知の場合には、遺言執行者は、その就職の日から10日以内に、認知に関する遺言の謄本を添附して、第60条又は第61条の規定に従つて、その届出をしなければならない。