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働く者から取るなかれ (減給額の制限)

菊池捷男

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テーマ:諺にして学ぶ法 

 働かざる者食うべからず,という言葉がある。逆に言うと,働く者には糧を与えよ,ということになる。現在,糧とは,賃金のことだ。賃金から,税金や社会保険料は差し引かれるのは別問題だ。
 なお,税と言えば,江戸幕府を開いた徳川家康の定めた四公六民の制度がある。これは,お百姓の取り分は六分で,藩主の取り分は四分という意味だ。もし,藩主が,四公六民を守らず,お百姓さんにそれを超えて過酷な年貢を課しでもすれば,幕府は黙っていない。藩主は改易だ。改易の辛さは,浅野内匠頭の赤穂藩の例で分かるだろう。だから,藩主はすべて四公六民を守った,とは言えね~。守らね~のがいたからたいへんだった。そこで,家康,お百姓さんに,直訴することを許した。許した代わりに,直訴した者は,磔にすることにした。磔にする理由は,身分制度の下,藩主を訴えるったあ大罪だったからだ,これにより,藩主は,酷い政治をすると,お百姓さんから,刺し違えられる危険が生じた。お百姓さんも,命と交換に藩主に善政を求めることができたのだ。
 ここで,閑話休題だ。
 ここで言いたいことは,使用者がする従業員に対する減給処分には,金額に制限があるということだ。
 すなわち,労働基準法91条は,就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合,減給額は一回あたり平均賃金の半日分まで,減給額の月額合計額は,賃金の月総額の1割までだ。。
 例えば,従業員の遅刻に対して減給処分を科す場合は,減給額は,1回の遅刻に対しては,平均銀が一日1万円だとすると,一回の減給分は5000円まで,月の20回遅刻した場合でも,そのと月の減給額の合計額は,その月の賃金の総額が20万円ならば,減給額の合計額は2万円までということだ。

 なお,ここでいう平均賃金の定義としては,労働基準法12条1項で,
 この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下つてはならない。
一 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十
二 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額
と定められている。

知ってて,おくんなせ~。

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菊池捷男(弁護士)

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