不動産 公図の歴史
Q 今般,当社は,借家人のいる建物と敷地を居抜きで買い取りました。賃貸借契約は,期間の定めのない契約になっています。そこで,当社は,借家人に対して賃貸借契約を解約して建物の明渡を求めたいと思いますが,解約通知書の書き方を教えてください。
A
貴社が,売主から,賃貸不動産を買い受けると,貴社は,賃貸人たる地位を旧所有者から引き継ぐことになります。その建物賃貸借契約の期間は定められていないようで
すので,その場合で,賃貸借契約を解約するときは,下記6つの事項を書面に書いて賃借人に送付することが必要です。
記
① 旧所有者と賃借人との間で期間の定めのない賃貸借契約を締結したこと(日時も分かれば書く)
② ①の契約に基づき旧所有者が賃借人に建物を引き渡したこと(日時も分かれば書く)
③ 地主と貴社との間で賃貸借契約の目的となっている土地建物について売買契約を締結し,貴社に所有権移転登記手続をしたこと(登記の日時も書く)
④ 貴社から賃借人に対して解約を申し入れること(「本書面で解約の申し入れをします。」と書く)
⑤ 解約の効果は,④の後6か月が経過した時点で生ずること(借地借家法27条1項)
⑥ 解約申入れ時に,借家人に対し,解約を申し入れる正当事由が存在すること及び正当事由を基礎づける事情(借地借家法28条)の詳細を説明すること(後述のように具体的に書く)
です。
問題は,⑥の「正当の事由」の書き方です。
「正当の事由」は,建物の使用を必要とする事情,建物の賃貸借に関する従前の経過,建物の利用状況,建物の現況,建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに賃借人に対して財産上の給付(いわゆる立退料)の申出をしたこと等を考慮して判断されます。
裁判例では,賃借人の移転先があること(最高裁昭和25年2月14日判決),賃借人の移転先を提供したこと(最高裁昭和28年10月23日判決),建物の大修繕の必要性(最高裁昭和35年4月26日判決)を考慮したものなどもあります。
正当事由がない場合は,賃貸借契約は解約できませんので,その場合は,立退料の支払いを条件に話し合って合意で解除するほか道はありません。