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不動産 建築条件付土地売買契約について

菊池捷男

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テーマ:不動産

Q  当社は,土地分譲会社です。
①買主が,当社と提携している建設会社で建築することを条件に,土地の売買契約をしても有効ですか?
➁建築条件付土地売買契約で,解約手付契約や違約手付契約を結ぶことはできますか?
③買主が,建築会社と交渉した結果請負契約を結ぶことが出来なかったという理由で,土地売買契約を解除するといってきたら,違約金は請求できないのですか?

①は,有効です。ただし,独禁法上の抱き合わせ販売とされるときは,無効とされる場合があります。
➁は,できます。ただし,建築条件不成就により契約が解除となった場合は,土地売買契約も解除とされ,売主は買主から受領した土地代金等を全額買主に返還しなければならないことになっています(不動産の表示に関する公正競争規約第6条1号ウ)ので,解約手付契約や違約手付契約が無意味になる場合もあります。
 なお,建築条件付土地売買契約というのは,その土地上に,一定の期間内に,買主が売主の指定する会社で,建物を建築する,という請負契約を結ぶことで,効力が生ずる契約(停止条件付契約)か,請負契約が成立しなかったときは契約が解除になるという契約(解除条件付契約)のいずれかですが,いずれにせよ,一旦契約が成立した以上は,当事者は相手方に債務不履行もないのに一方的にキャンセル(解除)をすることはできません。この点、まだ契約の効力が生じていないのだから、自由に解除できると考えると,間違いです。停止条件付売買契約の場合,建物建築請負契約を結ぶ前は,売買契約の「効力」はまだ発生していませんが,契約は「成立」しているのです。
 したがって,解約手付であっても,違約手付であっても,手付契約は有効です。

③は,そのような主張はできません。民法130条は「条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。」という規定があることと,請負契約が成立しなかったときは,土地売買契約が解除され、土地の買主から受領した金銭は遅滞なく返還すべきものとされている不動産の表示に関する公正競争規約第6条1号ウの趣旨から,買主の責めに期すべき事由によって請負契約が締結できなかったという主張は許されないでしょう。
ただし,請負契約の締結を,妨害したと評価されるような場合は,別になります。

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菊池捷男
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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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