不動産 公図の歴史
Q 私は,Aさんから,土地と建物を購入することにしたのですが,その土地は公道に接していません。Aさんは,私が買おうとしている土地と公道の間の土地(隣地)も所有していますので,私に,公道に出るまでの間に幅2mの通路を開設してその土地に地役権を設定すると言ってくれているのですが,そうであれば,私も土地と建物を買っても良いかな,と思います。
なにか,気をつけることはありますか?
A
1,地役権
地役権とは,設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利をいいます。
あなたの場合でいいますと,あなたが買われる土地(「要役地」といいます)の便益(公道に出ることができるという便益)のために,Aさんの土地(通路部分。これを「承役地」といいます)を通行できる権利をいうのです。
あなたの場合は,通行を目的とする権利ですから,通行地役権といわれますが,地役権には,他に,用水地役権(引水地役権)、眺望地役権(観望地役権)、送電線地役権、湧水池地役権、浸冠水地役権(遊水地地役権)などがあります。
地役権は,不動産登記法によって,登記することができます。
不動産登記法80条では,①要役地,②地役権設定の目的及び範囲などを明らかにする必要があります。
ですから,あなたの場合,Aさんから隣地の通路部分に通行地役権が設定されると,そこを通路として使うことができます。
2,建て替えは,無条件ではできない。
しかしながら,あなたが将来建物を建て替えるときは,建築確認を得なければなりませんが,公道に接していない土地については,たんに隣地に2m幅の通行地役権があるというだけでは,建築確認を得ることはできません。
建築基準法43条は「建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない。」と規定していますが,通行地役権の対象になっているだけの土地は,建物の敷地とはいえないからです。
理由は,「敷地」は法的に建築可能な土地ですが,通行地役権の対象地は建築ができない土地だからです。ただ,実務上は,通行地役権対象の土地でも建築基準法43条の「敷地」(「延長敷地」という言い方になります)と認める場合もあるようですので,あなたの場合,よく調査されるべきです。
3,結論
Aさんが通行地役権を設定するといっている土地を,買うか建物の敷地とするため建物所有を目的とする借地権または使用借権の設定を受ければ安心ですが,通行地役権の設定を受けた土地というだけでは,将来建築確認が得られる保証はありません。