結ぶべきは、賃貸借契約か使用貸借契約か?
Q 質問
共有地を借りたいのですが、共有者3名中1名(共有持分3分の1)の居所が不明で、その1名からは貸借の同意はもらえません。共有者2名(共有持分3分の2)との契約で、共有地の使用貸借契約を結んでも有効ですか?
A
長期の契約は、全共有者の同意が要りますが、5年以下の短期の契約の場合は、共有者の過半数の同意で貸借が可能です。
すなわち、共有地の管理行為は、共有者の過半数でできますが、共有地の処分は、共有者全員の同意が要りますところ、裁判例では、次の基準で、処分行為と管理行為が分けられているからです。
(1)長期契約は、処分行為
東京地判平成18年1月26日は,返還時期を定めず,鉄筋コンクリート造りの堅固建物を再築する際に,締結された使用貸借契約は、他の共有者の使用収益権能を著しく制限するものであるから処分行為に該当する」と判示していますので、長期契約を結ぶ場合は、共有者全員の同意が必要です。。
(2)短期契約は管理行為
東京高判昭和50年9月29日は,民法602条の期間(土地については5年)を超えない共有物の賃貸借は「管理行為」に該当すると判示していますので、期間が5年以下の短期契約の場合は、共有者の過半数の同意で契約の締結が可能です。