交通事故 43 遅延損害金
裁判例にみられる基準
在宅介護費用は、施設入所に比べ高い。施設入所者であっても、その入所が一生涯保障されたものではない。これらのことを考えると、将来の介護費用としては、在宅介護を前提として請求したいと願うのは人情ですが、裁判所は、どのような要件を満たせば、それを認めているのでしょうか?
裁判例は、在宅介護による介護費用を請求するには、在宅介護の蓋然性がなければならないとしています。
具体的には,施設退所の時期,施設の性格,被害者の状況,近親者の意向,被害者を受け入れる家庭の状況,在宅介護に向けた準備状況,在宅介護の可否に関する入所中の施設又は医師の判断等によって、在宅介護の蓋然性の有無が判断されますが、在宅介護費用が認められるための有利な事情及び不利な事情としては以下のものが挙げられています。
[有利な事情]
・近親者に在宅介護の意向があること
・将来的な在宅介護の計画があること
・自宅改造に着手していること,着手していなくても自宅改造の計画があること(見積書,図面等)
・過去における在宅介護の実績
[不利な事情]
・自賠責保険金等を受け取っていながら,自宅改造に着手していないこと
・他の施設への入所申込みをしていること
・長期間にわたって在宅介護の実績がほとんどなく,相当期間が経過して いるにもかかわらず,在宅介護に向けた準備が進められていないこと