民法雑学 4 公立病院における診療債権、水道料金債権など自治体債権の消滅時効期間
Q 当社は、支払が遅れている顧客との間で、売掛金の残金を目的として準消費貸借契約を結び、長期分割弁済をしてもらっていますが、何か問題(メリット又はデメリット)はあるでしょうか?
A
1,メリットは消滅時効期間が延びること
売掛金を準消費貸借の目的とするということは、売掛金が貸金債権になるということですので、債権の消滅時効期間は、売掛金の場合の2年間(民法173条2号)が、貸金債権の場合の5年間(商事法定利率)になるということになります。
消滅時効期間が延びる点は、メリットと言えます。
2,デメリットは、消費税の控除が認められない恐れがあること
売掛金には消費税法の適用があり、貸金には消費税法の適用はありません。
ですから、あなたの場合、消費税分を含めた貸金が全額返済される場合は不利益を受けませんが、準消費貸借契を結んだ債権(貸金債権)の全部又は一部が回収できない結果になったときは、消費税法39条(貸倒れに係る消費税額の控除等)の適用を受けることができない恐れがあります(議論のあるところですが)。
すなわち、消費税法39条は、売掛金等の債権につき更生計画認可の決定等一定の事実が生じたため、税込価額の全部又は一部の領収をすることができなくなったときは、「当該領収をすることができないこととなったた日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該領収をすることができなくなった課税資産の譲渡等の税込価額に係る消費税額の合計額を控除する。」という規定ですが、この適用を受けない恐れがあるのです。ですから、売掛金の未回収分については損金経理ができても、納付済みの消費税はかえってこない恐れがあるのです。