民法雑学 心が傷つけられたとき
Q
私は交通事故に遭い、加害者に対し損害賠償請求訴訟を起こしている者ですが、必要があって、私が治療を受けた病院に、カルテの写しを交付するよう請求したところ、病院から、コピー1枚につき500円の請求を受けました。こんなことは許されるのですか?
A
許されません。
あなたが、病院にカルテのコピーを請求する根拠は、個人情報保護法25条1項による、病院の「保有個人データの開示請求」になりますので、手数料を支払うとしても、その費用は、同法30条2項により「実費を勘案して合理的であると認められる範囲内」のものでなければなりません。病院に対するカルテの写しの交付請求は、患者本人の権利ですが、病院が、患者の権利の行使に対し、実費を超える手数料を負担させることは、権利の行使に対する制約でしかなく、許されないのです。そこで、法律は、前述のように、手数料は、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内に抑えるよう、個人情報取扱事業者に命じているのです。
参照:個人情報の保護に関する法律
(保有個人データの開示)
第25条1項本文
個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示を求められたときは、本人に対し、政令で定める方法により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。
(手数料)
第30条
個人情報取扱事業者は、・・・第25条第1項の規定による開示を求められたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができる。
2 個人情報取扱事業者は、前項の規定により手数料を徴収する場合は、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内において、その手数料の額を定めなければならない。