地方行政 臨時職員と労働契約法18条による無期転換請求権
1,契約締結の機関
自治体は法人(法2条1項)なので、契約の締結は、その代表機関たる長(都道府県は知事、市町村は市町村長)がします(法147条)。
もっとも、職務代理者の制度もありますので、一定の要件を満たした場合は、副知事や副市町村長が職務代理者の公印を使って契約を締結する場合もあれば(法152条)、
権限の受任者を定めている場合は、その職務名と職員名で契約が締結されます(法153条)。
地方公営企業は管理者(地方公営企業法8条)がします。
2,専決・代行
これは内部的に権限を委任した場合の用語です。契約は長の名で締結します。
3,権限のない者がした契約
これは無効です。
4,双方代理規定との関係
自治体の長が自治体を代表して契約を結ぶ場合の相手方の代表者が同一自治体の長である場合(つまりは同じ人物が双方の代表又は自治体の長が相手方の代理人である場合)は民法108条の双方代理の類推適用を受けますので、議会の議決が必要になります(最高裁平成16.7.13判決)。
事前の議決が原則ですが、事後の議決で追認もできます。
5,表見代理によって相手方が保護されることは?
長の権限は法定されていますので、長に権限がないのに権限があると信じた相手方を保護する表見代理の適用はありません(最高裁昭和34.7.14判決)。
市町村長が、市町村民に言ったという言葉を捉えて、その言葉通りに履行を求める訴訟、あるいはその不履行による損害賠償請求訴訟を起こしても、市町村長が言ったことが権限外のことであれば、自治体に責任はありません。
開発許可権限のない町長が開発許可を出すと言った、という理由で、損害賠償請求訴訟を起こした法人に対し、裁判所が主張自体失当だとして請求棄却の判決を出した例がありますが、これは当然の判決です。