行政 2 たかが勧告と言うなかれ(行政指導でも取消訴訟の対象になる場合)
1,原則
一般入札が原則です(法234条1項)が、自治体に最も有利な条件で契約を結ぶ相手方を選定するのには、金額のみを観ないで、総合評価で決める場合もあります。
2,契約書の方式
自治体には契約締結に関する規則により、書面で契約を締結するのが一般です。その場合は、法234条5項により、①当該普通地方公共団体の長又はその委任を受けた者が契約の相手方とともに、契約書に記名押印することが要求され、それ以外の方式による契約は無効になります(長野地裁平成1.11.2判決)。
3,議会の議決
契約のうち、契約の種類、自治体の種類ごとに設定された基準以上の金額のものは、議会の議決が要ります(法96条1項5号・自治法施行令121条の2)
なお、自治体が財産を譲渡する場合も議会の議決を要する場合があります(法237条2項)が、これら議会の議決とは、たんに形式的な議決では足りません。譲渡の対価が適正な対価でない場合は、議決をする際に、その価格が適正な対価で無いことを前提にそれでも譲渡する必要性と妥当性を審議した結果の議決であることが要求されるのです。
4,議会の議決があったとは言えない場合
最高裁平成17.11.17判決は、
①地方自治法237条2項は,条例又は議会の議決による場合でなければ,普通地方公共団体の財産を適正な対価なくして譲渡し,又は貸し付けてはならない旨規定している。
②一方,同法96条1項6号は,条例で定める場合を除くほか,財産を適正な対価なくして譲渡し,又は貸し付けることを議会の議決事項として定めている。
③これらの規定は,適正な対価によらずに普通地方公共団体の財産の譲渡等を行うことを無制限に許すとすると,当該普通地方公共団体に多大の損失が生ずるおそれがあるのみならず,特定の者の利益のために財政の運営がゆがめられるおそれもあるため,条例による場合のほかは,適正な対価によらずに財産の譲渡等を行う必要性と妥当性を議会において審議させ,当該譲渡等を行うかどうかを議会の判断にゆだねることとしたものである。
④このような同法237条2項等の規定の趣旨にかんがみれば,同項の議会の議決があったというためには,当該譲渡等が適正な対価によらないものであることを前提として審議がされた上当該譲渡等を行うことを認める趣旨の議決がされたことを要するというべきである。
⑤議会において当該譲渡等の対価の妥当性について審議がされた上当該譲渡等を行うことを認める趣旨の議決がされたというだけでは,当該譲渡等が適正な対価によらないものであることを前提として審議がされた上議決がされたということはできない。
⑤これを本件についてみると,原審は,町議会が本件補正予算を可決するに当たり本件譲渡が適正な対価によらないものであることを前提として審議がされた上その議決がされた事実を確定しておらず,原審が確定した事実関係の下においては,本件補正予算の可決をもって本件譲渡につき地方自治法237条2項の議会の議決があったということはできない。
と判示しているところです。