自治体のする契約 2 私法上の契約と公法上の契約
1,私法上の契約とするのが最近の裁判例
一般廃棄物の処理は、廃掃法によって市町村の義務とされていますが、これを民間の業者に委託することができ、通常、民間の会社が処理や運搬を請け負っています。
この契約は古くは公法上の契約だとする説もありましたが、最近では私法上の契約と解されています(横浜地裁平成12.3.29判決や東京地裁平成19.11.30判決)
2,私法上の契約と地方自治法法上の制約
地方自治法234条1項は、売買、貸借、請負その他の私法上の契約を結ぶ場合は、①一般競争入札、②指名競争入札、③随意契約又は④せり売りの方法により締結しなければならないことを定めていますが、原則的な方法は、①一般競争入札です。
すなわち、同条2項は、一般競争入札以外の②指名競争入札、③随意契約又は④せり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、できることとされているのです。
3,随意契約を結ぶことができる場合
随意契約を結ぶことができるのは、地方自治法施行令167条の2第1項に規定されていますが、その中に「(契約)の性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」は随意契約でよいとする規定があります。
4,随意契約に関する判例の解釈
最高裁昭和62年3月20日判決は、「契約の性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」については、「競争入札の方法によること自体が不可能又は著しく困難とはいえないが、不特定多数の者の参加を求め競争原理に基づいて契約の相手方を決定することが必ずしも適当ではなく、当該契約自体では多少とも価格の有利性を犠牲にする結果になるとしても、普通地方公共団体において当該契約の目的、内容に照らしそれに相応する資力、信用、技術、経験等を有する相手方を選定しその者との間で契約の締結をするという方法をとるのが当該契約の性質に照らし又はその目的を究極的に達成する上でより妥当であり、ひいては当該普通地方公共団体の利益の増進につながると合理的に判断される場合も同項1号に掲げる場合に該当するものと解すべきである。」と判示しています。
5,民間業者への一般廃棄物の処理委託契約と随意契約
前記横浜地裁平成12.3.29判決や東京地裁平成19.11.30判決は、一般廃棄物の処理を民間に委託する契約について、当該事案の内容を詳細の検討した結果、随意契約にしたことに裁量権の乱用はなかったので違法では無いとしていますが、一般的には指名競争入札によるものが多いのが現状です。