結ぶべきは、賃貸借契約か使用貸借契約か?
1 土地の使用貸借契約とは
土地の使用貸借契約とは、無償で土地を使わせる契約のことです。
賃貸借契約は、使用の対価である賃料を支払うことが契約の内容になりますが、使用貸借契約は、使用の対価(賃料=地代)を支払わない契約です。なお、借主が土地にかかる固定資産税を貸主に支払う場合もありますが、その程度の金額は土地使用の対価とは言わず、それで賃貸借契約になるものではありません。
2 借主の死亡と使用貸借の終了
使用貸借は、無償で、物を貸す契約ですので、貸主・借主間の個人的情義関係に基づきなされるのが一般的であることから、借主が死亡したときは、使用貸借も終了することになります(民法599条)
3 建物所有を目的とした使用貸借の場合は、その例外
建物の所有を目的とした土地の使用貸借契約は、借主が死亡したからといって当然に終了するものとは考えられていません。建物の所有を目的とする土地の使用貸借契約は、特段の事情がない限り、建物所有の用途にしたがってその使用を終えたときに終了するとされています(東京地裁平成5年9月14日判決)
4 実務で多いケース
父親が、息子又は娘のために、土地を提供して、家を建てさせてあげたが、その後息子又は娘が亡くなったときに、その配偶者に対し、土地を返せというケースが多々あります。
親から見て、息子だから、娘だから、土地を無償で貸してやったのだが、息子、娘が亡くなった以上、その配偶者に、土地を無償で貸す理由はない。返してほしいという気持ちになるようです。
特に、借主が、土地にかかる公租公課程度も負担していていない場合は、そのようなトラブルが多い感じがします。