行政 2 たかが勧告と言うなかれ(行政指導でも取消訴訟の対象になる場合)
最高裁判所昭和53年3月17日判決は、
自動車の運転者は、公道において自動車を利用することを許されていることに伴う当然の負担として、合理的に必要な限度で行われる交通の取締に協力すべきものであること、その他現時における交通違反、交通事故の状況などをも考慮すると、警察官が、交通取締の一環として交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のための自動車検問を実施し、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく短時分の停止を求めて、運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法なものと解すべきである、と判示しました。
その根拠としては、警察法2条1項で、交通の安全と交通秩序の維持を警察官の職責と規定していること及び警察官職務執行法1条2項で 警察官のすべき手段は、目的のため必要な最小の限度において用いるべきものであつて、いやしくもその濫用にわたるようなことがあつてはならない(比例原則)ことを定めていること、です。