間違えやすい法令用語1 「施行する」・「適用する」
婚姻費用とは、「婚姻から生ずる費用」(民法760条) → 婚姻生活から生ずる費用 → 生活費のことです。
民法760条は「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と規定していますが、この義務を、夫婦の「婚姻費用分担義務」といいます。
通常、同居している夫婦の間では、この義務のあることは意識することは少ないと思われますが、夫婦が、別居すると、これが問題になります。
収入の多い夫と、収入がないか少ない妻が別居すると、妻から夫に対し、婚姻費用の分担金の請求が出来ます。この場合の、婚姻費用分担金の内訳は、子供がいる場合は、子供と妻の生活費の合計額から妻の分担額を控除した金額になります。
ただし、その別居が、妻の不倫等、妻に帰責自由がある場合は、妻の生活費部分に関する請求は認められない、ということもあります。
養育費とは、未成熟子が別居中の父又は母に対し請求できる、子が社会的に自立するまでに必要とされる費用のことです。
親には子を扶養する義務があります(民法878条)ので、親は、未成熟子が社会的に自立するまでは、子の生活の支援をしなければなりません。
この場合で、父母が離婚し、母に扶養せられるに至った未成熟子は、父に対し、養育費の請求が出来るのです。
なお、未成熟子とは、未成年者ではありません。親の学歴、社会的地位、経済力等が総合的に考慮され、期限や金額が決められますが、大学卒業までは、未成熟子だとされるケースが増えています。