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著作権 35 受託者がした著作権侵害につき、委託者に損害賠償義務が生ずるか?

菊池捷男

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テーマ:著作権

Q 当社は大規模小売店を経営し、商品の広告は専門のA社に委託しています。実は、先日、A社が作成したチラシに載せた写真がB社の著作権を侵害することが、Bからの連絡で分かりました。当社には、B社に対して、損害賠償義務はありますか?

A 原則として、それはありません。
貴社が損害賠償義務を負うのは、貴社に過失がある場合です(民法709条)。
大阪地判平成17.12.8は,コーヒーショップを全国展開しているA社が,パンフレット製作会社B社に依頼してパンフレットを作成させたところ,同パンフレット中の写真が著作権者C社の許諾なしに使用されたものであるとして,C社がそのA社に対して損害賠償請求をした事案です。この事案では,A社に過失があったかどうかが争点となりましたが、裁判例は,「A社は,コーヒーの焙煎加工及び販売その他を目的とする株式会社であり,宣伝広告の広告主となることはあっても,自ら広告を制作することを業とする会社ではない。このような会社が,少なくとも,顧客として,パンフレット製作会社にパンフレットの製作を依頼して,完成したパンフレットの納入を受けてこれを頒布するにあたっては,そのパンフレットに使用された写真について,別に著作権者が存在し,使用についてその許諾が得られていないことを知っているか,又は知り得べき特別の事情がある場合はともかく,その写真の使用に当たって別途著作権者の許諾が必要であれば,パンフレット製作会社B社からその旨指摘されるであろうことを信頼することが許され,逐一,その写真の使用のために別途第三者の許諾が必要か否かをパンフレット製作会社B社に対して確認し,あるいは,自らこれを調査するまでの注意義務を負うものではないと解すべきである。」と判示して,A社には過失がなかったと判断しました。
あなたの会社も場合も、この裁判例と同じ判断がなされると思います。

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菊池捷男
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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

迅速(相談要請があれば原則その日の内に相談可能)、的確、丁寧(法律相談の回答は、文献や裁判例の裏付けを添付)に、相談者の立場でアドバイス

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