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著作権 12 複製・翻案・二次的著作物

菊池捷男

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テーマ:著作権

1複製
著作権法で「複製」とは、著作物である書籍のコピーをイメージすると分かりやすいが、「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること」である。ただし、
イ 脚本その他これに類する演劇用の著作物については「当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。」また、
ロ 建築の著作物については「建築に関する図面に従って建築物を完成すること。」も複製に含まれる(法2条1項15号)。

2 翻案
著作権法27条は、「著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。」と規定している。
これは、複製のような「有形的な再製」ではなく、元の著作物に依拠して、別の著作物を作るという、翻案者の新たな創作になる。
小説を映画化したときの①映画や②脚本が、それぞれ元の著作物(「原著作物」という)の翻案の結果の著作物(「二次的著作物」という)である。

3 二次的著作物 
著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう(法2条1項11号)。前述のような、映画や脚本である。

4 二次的著作物と原著作物の著作者の権利
⑴ 原著作者の権利
二次的著作物に対するこの法律による保護は、その原著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない(法11条)。つまり、甲が書いた小説を映画化した場合でも、甲の小説に対する著作者としての権利に影響は与えないのである。すなわち、甲は、小説が映画化された後も、小説の複製権、公衆送信権、口述権、譲渡権、貸与権、翻案権は失われないのである。

⑵ 二次的著作物に対する権利も持つ
二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、・・・当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する(法28条)。つまり、甲の小説を映画化した場合は、甲は、映画著作権に生ずる複製権、上映権、公衆送信権、頒布権、翻案権も有することになる。
それ故、二次的著作物である映画の著作者が、自己の映画著作物を複製・頒布するにあたって、原著作物の著作者から利用許諾を得なければならず、また第三者が当該映画著作物を複製・頒布する場合には、原著作物の著作者と二次的著作物の著作者の許諾を得る必要がある。

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菊池捷男(弁護士)

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