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相続相談 40 遺産共有の効果

菊池捷男

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テーマ:相続相談

Q 遺産共有と共有物共有とでは、分割方法の違いの他に何か違いはありますか?
A ありません。
⑴最判昭30.5.31は、遺産共有は、民法の共有(注:共有物共有)の性格と同じ性格を有していると判示しています。
⑵ですから、相続財産の中に預貯金などの金銭債権がある場合、その債権は法律上当然に分割され各相続人がその相続分に応じてその権利を取得するものと解釈されるのです(同最判)。
⑶また、一昨日のコラム「相続相談 38 再転相続と特別受益」で、「遺産の共有持分権」という財産の説明をしましたが、これも遺産が共有であることから認められる権利だとされるのです。
⑷さらに、相続人が遺産分割をする前に法定相続分による移転登記(これは1人の相続人でもできる)をして、自分の共有持分を第三者に譲渡した場合、第三者が有効にその共有持分を取得できるのも、相続財産が共有だからだとされています。
⑸ ところで、第三者が、相続人から特定の財産の共有持分を譲り受けた場合、それは通常の共有物の共有持分を譲り受けたものですので、その共有状態を解消するには、共有物分割になりますが、第三者が、相続分の譲渡を受けた場合は、その第三者は相続人の立場に立ちますので、共有状態を解消するのは遺産分割になります(東京高判昭28.9.4)。

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菊池捷男
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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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