![菊池捷男](/elements/okayama/profiles/kikuchi/images/cache/thumbnail_l_1493169169_200_200.jpg)
コラム
相続相談 40 遺産共有の効果
2012年8月20日
Q 遺産共有と共有物共有とでは、分割方法の違いの他に何か違いはありますか?
A ありません。
⑴最判昭30.5.31は、遺産共有は、民法の共有(注:共有物共有)の性格と同じ性格を有していると判示しています。
⑵ですから、相続財産の中に預貯金などの金銭債権がある場合、その債権は法律上当然に分割され各相続人がその相続分に応じてその権利を取得するものと解釈されるのです(同最判)。
⑶また、一昨日のコラム「相続相談 38 再転相続と特別受益」で、「遺産の共有持分権」という財産の説明をしましたが、これも遺産が共有であることから認められる権利だとされるのです。
⑷さらに、相続人が遺産分割をする前に法定相続分による移転登記(これは1人の相続人でもできる)をして、自分の共有持分を第三者に譲渡した場合、第三者が有効にその共有持分を取得できるのも、相続財産が共有だからだとされています。
⑸ ところで、第三者が、相続人から特定の財産の共有持分を譲り受けた場合、それは通常の共有物の共有持分を譲り受けたものですので、その共有状態を解消するには、共有物分割になりますが、第三者が、相続分の譲渡を受けた場合は、その第三者は相続人の立場に立ちますので、共有状態を解消するのは遺産分割になります(東京高判昭28.9.4)。
関連するコラム
- 遺言執行者⑭遺留分減殺請求先に要注意 2015-02-04
- 相続相談 41 相続分の譲渡と贈与税 2012-08-21
- 相続税のお話し 7 代償分割に潜む落とし穴 2013-05-22
- 相続と登記 9 遺留分減殺請求と登記 2012-09-08
- 遺言執行者④ 相続財産目録調整義務続き➁ 2015-01-25
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。