遺言執行者⑭遺留分減殺請求先に要注意
Q 父が亡くなり、相続人は私と兄の2人です。
父は遺言書で、兄に市街化区域にある宅地や農地を相続させ、私には市街化調整区域にある農地を相続させました。
兄が取得した土地は、近くにマンションも数多くできており、利用価値は高いのに、私が取得した土地は宅地化できない土地で、農地としても極めて生産性の低い土地です。
しかし、固定資産税評価額で計算しますと、私の遺留分は侵害されていないことになります。
それでも、相続税の課税価格で計算しますと、私の遺留分は侵害されることになりますが、この場合、土地の時価の出し方には、どのような方法がありますか?
A
不動産の評価を固定資産税評価額ですると遺留分は侵害しないが、路線価ですると遺留分を侵害する、ということは、よくあります。
そのような場合は、一般に、不動産鑑定士の鑑定価額で不動産を評価する方法に拠っています。
その鑑定の方法ですが、同じ農地であっても、宅地転用の可能性が高い農地は時価方式で、宅地転用の見込みが薄い農地は収益還元方法、すなわち、農地からあがる純益を期待利回り率(民事法定利率の年5%)で割って資本還元した金額にすべしとする考え(大分家中津支審昭51.4.20)もありますので、必ずしも、すべて、共通の基準で時価を出すとは限らず、土地のある地域のことも考え、不動産鑑定士の判断によることになると思われます。