コラム
交通事故 24 後遺障害② 高次脳機能障害(補足)
2012年6月7日 公開 / 2012年8月15日更新
1 脳の器質的損傷が認められることが前提
高次脳機能障害は、MRI、CT等により、脳の器質的損傷が認められなければ、後遺障害として認定されない。
すなわち、自賠責保険における後遺障害等級認定は、通達により(平成13年金融庁・国土交通省告示第1号「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」)、原則として、労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行うこととされている。この労災認定基準において「高次脳機能障害は、脳の器質的病変に基づくものであることから、MRI、CT等によりその存在が認められることが必要となる」とされているので、MRI、CT等により、脳の器質的損傷が認められなければ、後遺障害として認定されないことになる。
なお、「器質的損傷」とは、人体の器官や組織への物理的な損傷をいう。
2 軽症頭部外傷
軽症頭部外傷(定義:頭部に何らかの外力が加わった事故のうち軽度なもの)による後遺障害は、脳の器質的損傷が、MRI、CT等により認定し難いため、見過ごされる危険が指摘されている(平成23年3月4日付「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」)。
これら軽症頭部外傷であっても、医学がさらに進歩し、あるいは、画像診断技術がさらに進歩する等して、脳の器質的損傷が認定できるようになれば、高次脳機能障害として認定されるケースは増えてくると思われる。
関連するコラム
- 交通事故 25 後遺障害③ PTSD(心的外傷性ストレス障害) 2012-06-08
- 交通事故 56 任意保険② 人身傷害保険(人身傷害条項) 2012-07-07
- 交通事故 23 後遺障害① 自賠責が認めなかった後遺障害を認めた裁判例 2012-06-06
- 交通事故 43 遅延損害金 2012-06-24
- 交通事故 21 逸失利益⑫ 定期金賠償は認められるか? 2012-06-04
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。