交通事故 23 後遺障害① 自賠責が認めなかった後遺障害を認めた裁判例
1 後遺障害要件の一部しか満たしていない後遺障害
例えば、自賠責等級表14級2号は「3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」であるので、2歯の場合は14級に該当しない。しかし、これを何の後遺障害もなかったのと同視できない。要は、14級未満の後遺障害はあったのである。
顔面醜状でも同じである。14級の要件に該当しなくとも200万円の後遺症慰謝料を認めた裁判例(大阪地判平11.10.25)等多数ある。
2 より上級の等級に至らない場合
例えば、外貌醜状で12級には該当するが、その上位の等級である7級には該当しないという場合もあるが、このような場合でも、該当等級の慰謝料基準額を超える金額が認められることもある。神戸地判平7.11.8は、高校3年生の女子に14級の外貌醜状が残ったケースで400万円の慰謝料を認めた。
3 等級そのものに該当しないケース
例えば、名古屋地判平21.2.27は、どの後遺症の等級にも該当しないが、被害者の精神的要因により左手母指痙性内転位(限局性ディストニア)が生じたとして、後遺症慰謝料420万円を認めた。(なお、この件は、労働能力喪失率14%の逸失利益も認めている。)