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交通事故 8 休業損害金④ 企業損害

菊池捷男

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テーマ:交通事故

1 企業損害の意味
企業損害とは、交通事故により会社の役員や従業員が死傷した場合に、その会社が蒙る損害をいう。

2 企業損害が認められる場合
最判昭43.11.15は、①会社が被害者の個人会社であり、②被害者には会社の機関としての代替性がなく、③経済的に被害者会社とは一体をなす関係にあるものと認められる場合は、被害者個人の受傷によって会社が損害を蒙ったときは、被害者個人だけでなく、会社も加害者に対し、損害賠償の請求を認めることができる旨判示した。
この判決の事実関係は、
被害者はもと薬局経営会社の代表者。会社はもともとは代表者が個人で経営していたのを、納税上の必要から有限会社にしたもの。社員は妻のみ。被害者以外に薬剤師はおらず、会社は、いわば形式上有限会社という法形態をとつたもの。会社にとつて、被害者は余人をもつて代えることのできない不可欠の存在であるものであった。この事件では、会社からの損害賠償の請求を認めたのである。

3 その他の裁判例
被害者が会社の株式の全部を持ち代表者。母を取締役としているが名目的なものに過ぎず、妻以外には一緒に働く者はいないという空調設備販売会社につき、被害者が現場に出られなかったため、その仕事を外注に出さざるを得なくなった、その会社の外注費を、損害と認めた裁判例(名古屋地判平19.10.26)や、
特殊の測量技術を要する航空測量会社の代表者が被害にあった。従業員は2名いたが、技術者は被害者のみ。被害者が休業したために、被害者には役員報酬の損害賠償請求は認められたが、会社にも損害賠償の請求が認められた裁判例(名古屋地判平20.12.10)などがある。

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菊池捷男(弁護士)

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