コラム
交通事故 2 物損② 評価損
2012年5月16日 公開 / 2012年8月15日更新
1 評価損の意味
交通事故の被害車両を修理しても、外観や機能が事故前に比べて劣る場合(技術上の評価損)もあれば、事故歴があるという理由で交換価値が落ちる場合(取引上の評価損・格落ち損)もある。このような機能・外観の劣化や格落ち部分が評価損になる。
2 評価損の算定方法
⑴ 事故に遭わなかったとした場合の時価-修理後の価格
(事故に遭わなかった場合の時価はレッドブックやイエローブックにより、事故後の車両の価格は(財)日本自動車査定協会(「査定会」の審査員による事故減価証明書による。ただし査定会は自動車の骨格部位ではないリヤバンバーやトランクフードなどの修理だけの場合は、査定しない。)
⑵ 事故に遭わなかったとして場合の時価の一定割合
⑶ 修理費の一定割合(1~5割。3割前後が多い)この事例が多い。
⑷ ⑴と⑶の金額のうち低い方の金額
⑸ 種々の要素を検討して出した金額
の各方法がある。
3 評価損を認めた裁判例
⑴ BMWについて70万円(修理代142万円)
⑵ ホンダ・ステップワゴン165000円(修理代の2割)
⑶ BMW735iにつき538524円(修理費の3割)
⑷ メルセデスベンツCL600517230円(修理費の3割)
⑸ ランブルギーニ・ディアブロSE30につき2082456円(修理費の3割)
4 評価損を認めなかった裁判例
⑴ 国産車で左側ミラー下の損傷
⑵ 高級外車だが、軽微な損傷であり、部品交換によって完全に修復している
⑶ 時価145万円の車両を129万円かけて修理したので、評価損はない
関連するコラム
- 交通事故 21 逸失利益⑫ 定期金賠償は認められるか? 2012-06-04
- 交通事故 25 後遺障害③ PTSD(心的外傷性ストレス障害) 2012-06-08
- 交通事故 43 遅延損害金 2012-06-24
- 交通事故 56 任意保険② 人身傷害保険(人身傷害条項) 2012-07-07
- 交通事故 23 後遺障害① 自賠責が認めなかった後遺障害を認めた裁判例 2012-06-06
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。