間違えやすい法令用語1 「施行する」・「適用する」
1供託
供託とは、法令の規定により、金銭、有価証券又はその他の物品を供託所(法務局・地方法務局・支局・法務大臣の指定する出張所)に寄託することをいいます。
その手続は供託法で定められていますが、供託原因は法令の規定に拠ります。
2供託原因
供託原因には、
① 債務の消滅のためにする供託(民法494条等)、
② 相手方に生ずる損害の賠償等を担保するためにする供託(民訴259条。76条等)、
③ 他人の物を単に保管するためにする供託(商法585条等)、
④ その他特別の政策的理由に基づく供託(公職選挙立候補者の供託(公選法92条等)
などがあります。
3 供託物を債権者が受け取る場合は「還付」
供託した者を「供託者」といいますが、供託者が供託物を受取る権利を有する者として指定した者を「被供託者」(ただし供託法ではこの言葉はない)といいます。
弁済供託の場合の被供託者は債権者のことですが、債権者が供託物を受け取ることは「還付」と言われます。債権者から供託物の「還付請求」をする等という言い方をします。
供託法8条1項は「供託物ノ還付ヲ請求スル者ハ法務大臣ノ定ムル所ニ依リ其権利ヲ証明スルコトヲ要ス」と規定しているとおりです。
4 託物を供託者が受け取る場合は「取戻」
供託法8条2項は「供託者ハ民法第496条ノ規定ニ依レルコト、供託カ錯誤ニ出テシコト又ハ其原因カ消滅シタルコトヲ証明スルニ非サレハ供託物ヲ取戻スコトヲ得ス」と規定しているところです。