賃借人が賃借建物内で死亡していたとき
最判平17.12.16は、住宅の賃貸借契約に関して、賃料の中には、通常の目的物の減耗分は含まれているので、これを賃借人に負担させると賃借人に予期せぬ特別の負担を課することになる。したがって,このような原状回復義務を認めさせるためにはその旨の特約が明確にされている必要があり、それが一義的に明確でないと原状回復費用の請求は出来ない、と判示しました。東簡平20.4.10は、この判例を引用しながら、この理はオフィスビルの場合も異ならないと判示した上で,「原状回復工事は…床タイルカーペット貼替,壁クロス貼替,天井クロス貼替及び室内全体クリーニング仕上げ等工事を基本にして借主負担とする。」と記載するのみでは,補修工事の具体的範囲,方法,程度等について何ら定めていないから,テナントが負担することになる通常損耗の範囲が一義的に明白であるとはいえないとして、テナントに対する原状回復請求費用の請求を棄却しました。