相続税のお話し 7 代償分割に潜む落とし穴
Q 先日、夫が亡くなりました。夫は生前、次の遺言を書いていましたので、私は夫の全財産を相続することになりました。
遺 言 書
私○○太郎は財産のすべてを妻△子に相続させる。
平成○○年○○月○○日
○○太郎 印
すると、先妻の子から、内容証明郵便で、
子の法定相続分1/2 × 遺留分割合1/2=1/4
の遺留分があるので、その割合の財産を返してくれ、価額弁償してくれと言ってきました。
応じなければならないのでしょうか?
A 遺留分と遺留分侵害額の計算が正しいものとの前提で回答しますと、
先妻の子は、財産の1/4について遺留分減殺請求権を持っています。
その結果、あなたはと先妻の子とは、あなたが遺言で取得した財産のすべてについて、先妻の子が1/4、あなたが3/4の共有持分を持つ共有者になります。
しかし、先妻の子は、あなたに対し、価額弁償を請求する権利はありません(最判12.7.11)。
あなたからは、価額で弁償することは可能です(民法1041条)。
財産の一部は共有にし、財産の一部についてのみ価額で弁償することもできます(最判平12.7.11)。
なお、価額弁償は、現実に現金を提供することが必要です。口頭で価額弁償をするというだけでは価額弁償の効果はありません(最判昭54.7.10)。