不動産 公図の歴史
1「全戸オーシャンビュー」にも電柱、電線という障害物があった事例
福岡地裁平成18.2.2判決事案です。
「全戸オーシャンビューのリビングが自慢です。」との広告を見て、分譲会社を訪問した甲が、3階の住戸301号室と5階の住戸501号室がまだ売れていなかったのでそのいずれかを買いたいと思い、分譲会社の従業員に尋ねますと、従業員は、いずれの部屋も眺望には違いはありません、と答えたので、301号室を購入しました。
ところが、入居してみると、301号室の前には電柱が立っており、そこから3本の電線がベランダに沿って水平に走っていたのです。
判決は、売主の説明義務違反を理由に、売買契約の解除と手付金、オプション工事代金の損害賠償を認めました。
2 「全戸南向き」ではなかったマンション
京都地裁平成12.3.24判決事案です。
「全戸南向き、採光の良い明るいリビングダイニング」の広告を見てマンションを購入したものの、建築されたマンションは、62度11分も西方向に向いていました。
買主は皆、日照時間が少なくなり、真夏日に西日を受けることから光熱費が増大することになったので、
①その住戸を売却するときの価格が減少した。
②精神的苦痛を受けた。
③訴訟を起こしたので、弁護士費用がかかった。
という損害の賠償を請求しました。
これに対し、判決は、責任についてはマンションの売主の説明義務違反があった点でこれを認め、損害の①については、買主は転売目的で住戸を買ったのではないこと、住戸の価格が南向きを前提にしたものかどうか不明であることを理由に、売主の説明義務違反によって、住戸の価格が下がったと認定することはできないとして否定し、②については、マンション購入者1戸あたり120万円の慰謝料を認め、③については住戸1戸あたり15万円の弁護士費用の損害賠償請求を認めました。