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不動産 20 眺望配慮義務

菊池捷男

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テーマ:不動産

1 眺望配慮義務を認めた事例
札幌地裁平成16.3.31判決の事案です。
甲社は、札幌市内にあって、その場所の利便性と眺望の良さを売りものに15階建てマンションAを分譲しましたが、その後、その南25m道路を隔てた場所にある別の土地(マンションから信マンションまで約40m)にもまた高層マンションBを建てたために、Aマンションの最上階からも眺望が大きく制限されることになりました。

Aマンションが売りに出されたときのパンフレットには、「札幌の風物詩を、特等席から眺める。」「豊平川の夜空に咲く花火。」といった記載があり、花火の写真や大通公園の夜景を上から撮影した写真も掲載されていました。

判決は、甲社は、Aマンションを都心部の利便性の外に、眺望の良さを売りにして販売したのだから、マンションBを建築する際、その眺望に配慮して建築する義務があったのにそれをしなかったとして、慰謝料の支払義務として、1人50万円乃至85万円の支払を命じました。

2 眺望配慮義務を否定した事例
大阪地裁平成20.6.25判決事案は、甲地に建てられたマンションから、同じ分譲会社の所有である乙地に建られてた新マンションまでの距離が82.5mあること、分譲会社がマンションを売り出したときの重要事項説明書には、乙地には将来超高層建物が建築される可能性があると書かれていたことを理由に、乙地での新マンションの建築は、眺望配慮義務に違反していないと判示しました。

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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