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不動産 12 下水管の勾配不足・崖面に擁壁がないこと

菊池捷男

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テーマ:不動産

1勾配不足は隠れた瑕疵にあたる
東京地裁平成20.12.19判決は、土地建物を購入し使用を開始した後、下水管が詰まり、排泄物等が滞留して臭気を発するという問題に悩まされるようになった買主が、建築士に調査をしてもらったところ、下水管の、汚水枡Aの排水管の入り口と排水枡Bの排水管の出口の間の勾配が、日本建築設備協会の仕様書では最少1/100、その市の下水道条例では2/100であるのに、わずか0.3/100しかなかったことが分かったので、これを隠れた瑕疵にあたるとして、損害賠償の請求をした事案ですが、判決は、これは隠れた瑕疵にあたると認定して、損害賠償の請求を認めました。

2崖面に擁壁がないこと
前記東京地裁平成20.12.19判決は、本件土地が宅地造成工事規制地域にあるため、施行令6条1項1号で定める擁壁を設置しなければならないのに、その崖面に擁壁がない事案でしたが、これも「瑕疵」にあたる、と認定しました。
しかしながら、①買主が過去に収益目的で不動産を購入していること、現地を視察していること、売買契約書には税金対策を考えて虚偽の代金額を記載させたこと等から、買主は不動産取引について素人とはいえないこと、②重要事項説明書には本件土地が宅地造成工事規制地域にある旨の記載があることを理由に「隠れた瑕疵」には当たらないと判示しました。
これも事例として紹介します。

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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