不動産 中間省略登記ができない理由
1隠れたる瑕疵に該当する
東京地裁平成16.10.28判決は、分譲用に購入した土地の地中に、隣人と共有・共用の排水管や浄化槽が設置されていた事件で、
①買主は、本件排水管等が共有・共用であることを知らないこと
②排水管等の存在が地表面から認識することができないこと
③土地建物についての重要事項説明書等には本件排水管等が共有・共用である旨の記載がなされていないこと
④隣人が、本件排水管等の撤去に反対していること
を理由に、本件排水管等の存在を民法570条の「隠れたる瑕疵」と認定しました。
2瑕疵担保責任における損害賠償の範囲
前記判決は、
①分譲が遅れたことにより本件土地の売買契約(分譲)を解除せざるを得なくなり支払った違約金、
②瑕疵担保責任に基づき売買契約を解除したことによる原状回復義務の履行のために建物に付した火災保険料、
③銀行金利負担金
を損害と認めましたが
瑕疵担保責任による損害賠償は「信頼利益」の賠償であり、「履行利益」の賠償ではないことから、土地の分譲代金の下落分は否定されています。
3瑕疵担保免責特約の不適用
この件も、瑕疵担保責任免除の特約が付されていましたが、
①売主は、自分が所有する建物の浄化槽がどのような常態になっているか、その費用がどの程度かかっているかは、通常、重要な関心事であるはず。
②しかし、売主は、「自分の知らない誰かが管理費を支払っていたとしか言えない」等と不自然、不合理な説明をしている。
③隣人が、本件土地は自分の同意がないと売ることは出来ない等と公言していた。
ことを理由に、売主は本件排水管等が共有・共用であることを知っていたのに、それを買主に告知しなかったと認定して、瑕疵担保責任免責特約は適用できない、と判示しました。