間違えやすい法令用語 25 以前・前・以後・後
これらの用語は、事実を認定する場合の用語です。
1 推定する
「推定する」という用語は、「一応その事実を真実と考えるが、それが真実ではないことが証明されると、その事実は認められない」という意味になります。
例えば、民法772条1項は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」と規定していますが、DNA鑑定などによって、妻が婚姻中に懐胎した子であっても、夫の子でないことが証明されたときは、夫の子であることが否定されます(これを「嫡出否認」といいます)。
2 みなす
「みなす」という用語は、「その事実を確定的に真実であると扱う」という意味になります。ですから、「みなす」という用語がある場合は、「そうではない」という証明はできないことになります。
例えば、民法939条は「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」と規定していますので、相続放棄をした者は、相続人であることを主張することは許されないことになります。
また、民法925条は「相続人が限定承認をしたときは、その被相続人に対して有した権利義務は、消滅しなかったものとみなす。」と規定していますので、なんぴとも、限定承認をした相続人に対し、被相続人に対する権利義務は消滅したと主張することは許されません。