Mybestpro Members

菊池捷男プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

イラスト相続 11 生前贈与があるとき

菊池捷男

菊池捷男


相続人の中で、被相続人より生前贈与を受けている者がいる場合、遺産分割に入る前の計算方法が、基本型とは違ってきます。
これを、図で示します。
例:本コラム「イラスト相続9」の例の場合で、実は長男が生前被相続人よりこの当時時価1000万円のA宅地を贈与されていたとします。
Step1
相続人・相続分の確定
例:
相続人は、相続人は妻と長男と長女であった。
相続分は、遺言がないので法定相続分になり、妻が1/2,長男が1/4、長女が1/4になった。

Step2
相続財産の総額を、相続開始時を基準に算定
例:
相続財産の相続開始時の総額は1億円であった。

Step3
相続財産の総額に贈与の額(相続開始時が基準)を加算する
例:
長男には当時1000万円の価値があった財産を贈与していたが、相続開始時の価額は2000万円であったので、2000万円を加算する。

Step4
相続財産の額に贈与の額を加える(これを「持戻し」といい、その合計額を「みなし相続財産」という)
例 
みなし相続財産は、
相続財産額1億円+生前贈与額2000万円=1億2000万円になる。
価額はいずれも相続開始時のものです。

Step5
みなし相続財産に各相続人の相続分をかける(それによって算出された金額を「一応の相続分」という)
例:
妻 は法定相続分が1/2なので、1億2000万円×1/2=6000万円、
長男は法定相続分が1/4なので、1億2000万円×1/4=各3000万円
長男も法定相続分が1/4なので、1億2000万円×1/4=各3000万円
になる。

Step6
一応の相続分から生前贈与の金額を引く(それによって算出された金額を「具体的相続分」という)
例:
妻 は、一応の相続分6000万円-0=6000万円、
長男は、一応の相続分3000万円-生前贈与額2000万円=1000万円、
長女は、一応の相続分3000万円-0=3000万円
この具体的相続分は、相続開始時の相続財産1億円を分けるときの基準になる金額です。
すなわち、相続開始時1億円であった相続財産から、妻は6000万円、長男は1000万円、長女は3000万円をもらえることになるのです。

Step7
相続財産の価額が、相続開始時と遺産分割時で異なっている場合は、遺産分割時の価額を算出する。
例:
相続開始時1億円であった相続財産は、遺産分割時9000万円になっていた。

Step8
 各相続人の現実的取得分を算出
これは、遺産分割時の相続財産額を、各相続人が、具体的相続分率で分け合うことで算出されます。
妻 は、9000万円×6000万円/1億円=5400万円、
長男は、9000万円×1000万円/1億円=900万円
長女は、9000万円×3000万円/1億円=2700万円

Step9 遺産分割の必要性を検討
Step10 遺産分割の協議に入る。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

菊池捷男
専門家

菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

迅速(相談要請があれば原則その日の内に相談可能)、的確、丁寧(法律相談の回答は、文献や裁判例の裏付けを添付)に、相談者の立場でアドバイス

菊池捷男プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼