遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
1 相続人調査のための戸籍謄本・除籍謄本調査
相続が開始したとき、相続人の調査は欠かせません。そして、その調査は必ず戸籍謄本等の交付を受けてすることになります。
戸籍法では、
1条で、戸籍に関する事務は、市町村長がこれを管掌する。
3条で、法務大臣は、市町村長が戸籍事務を処理するに当たりよるべき基準を定めることができる。
6条で、戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める1の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。
7条で、戸籍は、これをつづつて帳簿とする。
8条で、戸籍は、正本と副本を設け、正本は、これを市役所又は町村役場に備え、副本は、管轄法務局若しくは地方法務局又はその支局がこれを保存する。
と定め、
9条、10条で、戸籍謄本等の交付請求手続を定めています。
また、12条で、「1つの戸籍内の全員をその戸籍から除いたときは、その戸籍は、これを戸籍簿から除いて別につづり、除籍簿として、これを保存する」ことが定められていますので、
相続人調査には、戸籍謄本と除籍謄本が必要になることが分かります。
2 戸籍法の改正
戸籍法が改正になることもありますが、戸籍事務は連続性が求められますので、戸籍法附則3条は「旧法の規定による戸籍は、これを新法の規定による戸籍とみなす。ただし、新法施行後10年を経過したときは、旧法の規定による戸籍は、法務省令の定めるところにより、新法によつてこれを改製しなければならない。」と定めています。
すなわち、戸籍の「改製」とは、戸籍法が改正されることによって戸籍簿が作り替えられることを意味します。
3 我が国の戸籍簿の改製
⑴ 我が国での最近の戸籍簿の改製は、昭和23年1月1日に民法が改正され「戸主」や「家族」に関する規定が廃止されたことに伴い、同じ日を施行日とする改製戸籍法による戸籍簿の改製と
⑵ 戸籍事務のコンピューター化に伴い「平成6年法務省令51号附則2条1項」により、戸籍簿が改製されたものがあります。
4 改製原戸籍
改製原戸籍とは、改製される前の原(もと)になった戸籍という意味です。ですから、現在の「改製原戸籍」は、3の⑵の改製前の戸籍を意味するのです。