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相続 123 “争族”の原因

菊池捷男

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1 争族とは?
これは、親族間で争う、という意味を込めた、相続のマイナスイメージを文字にした造語です。
粒々辛苦の末の蓄財が、子の代に継がれるとき、愛と信頼に満ちた相続になるか、残された片親や兄弟姉妹間で骨肉相喰む争族になるかは、亡くなった人(被相続人)の生き様、考え、死後の財産の分け方による、と言っても過言でないでしょう。
あれほど立派な方の配偶者や子の間で、このような財産をめぐる争いをするなんて、信じられない、という“争族”は意外に多いのです。
その被相続人が遺した財産、相続財産を、被相続人が遺言で、どのように配分するかによって、というより配分を決めていることによって、争族はずいぶん減少するのです。

2 争族の結果
争族は、しなくともよい争いです。ひとたび争族になると、時間の空費、費用の負担、憎悪や嫌悪の感情の誘発などの、経済的、精神的損失や負担が生ずるだけでなく、その相続人の代だけにおいても兄弟姉妹の付き合いはなくなり、次の代になると意識すらしないような間柄になることが多いのです。

3 争族の原因
 一般的なものとしては、次の8とおりのトラブルが予想されます。
⑴ 遺産の分け方
⑵ 遺産の範囲
⑶ 遺産の評価額
⑷ 生前贈与(具体的相続分算出のための特別受益)の有無、内容
⑸ 寄与分の有無と内容
⑹ 遺留分算定の基礎となる生前贈与の有無と内容
⑺ 遺留分算定の基礎財産に含まれる愛人への生前贈与の有無と内容
⑻ 遺留分減殺請求後の共有物分割方法
  特殊の原因としては
⑼ お前は親父の子ではない、など相続人であることを争う場合
  があります。他にもいくらかはあるでしょう。
  
4 争族の予防
争族の原因のうち⑴ないし⑸は、共同相続人間でする遺産分割の協議や家庭裁判所がする遺産分割の審判の際に、問題になり、争点になるものです。
ですから、これらの争族を予防するには、相続開始後の遺産分割協議や遺産分割の審判を不要にする措置をとって置けば良いのです。
また争族の原因のうちの⑹ないし⑻は、遺言による相続財産の分け方や生前贈与の内容によって、一部の相続人の遺留分が侵害されるときに起こりますので、これも遺留分を侵害しない遺贈や贈与にしておけば、争族は予防されることになります。
例えば、すべての相続人の遺留分を侵害しない、そして、遺産分割協議の必要のない、遺産分割方法の指定や特定遺贈をしておけば、⑴ないし⑻の相続はまず起こらないはずです。その場合は、⑼の相続も起こりません。

5 遺言の重要性
 以上に述べた理由で、争族を避けるためには、遺言を書いておくことが重要です。
ここまで、遺言事項や遺言の内容などで遺留分を侵害した場合の法律問題を解説しましたが、本連載コラムで、引き続き遺言について書き進めます。

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菊池捷男(弁護士)

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