遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
1 協議で遺産分割をする場合は当然可能です。
2 審判で認められた事例
大阪高裁昭和46.12.7決定は、「遺産分割においては遺産の全部について行うのが相当であるけれども、遺産の範囲に争があつて訴訟が係属しているような場合において、遺産の一部の分割をするとすれば、民法906条の分割基準による適正妥当な分割の実現が不可能となるような場合でない限り、遺産の一部の分割も許されるものと解するのを相当とする」と判示しておりますので、特定の財産が遺産に属するかどうかが争いになっているとき、その財産を除いたその他の遺産について、遺産分割の審判は可能ということになります。
3 では、「遺産の一部の分割をするとすれば、民法906条の分割基準による適正妥当な分割の実現が不可能となるような場合」は?
その場合は、遺産分割が禁止されることになります。
これについては、「相続83」で解説します。