地方行政 臨時職員と労働契約法18条による無期転換請求権
最高裁判所平成22.9.10判決事案を紹介します。
この件は、茨木市の市長が、条例の根拠がないのに臨時的任用職員へ年2回の一時金を支払った件ですが、一審判決も二審判決も、条例の根拠のない一時金の支給だから、市長のした行為は違法である、として、市長に対し市へ損害を賠償することを命じました。
これに対し、最高裁判所平成22.9.10判決は、このような行為が常に違法になるというものではなく、臨時的任用職員の「勤務に要する時間に照らして、その勤務が通常の勤務形態の正規職員に準ずるものとして常勤と評価できる程度のものであること」と「支給される当該手当の性質からみて、当該臨時的任用職員の職務の内容及びその勤務を継続する期間等の諸事情にかんがみ、その支給の決定が合理的な裁量の範囲内であるといえること」の要件があれば違法ではない。しかし、この件では、勤務日数が週3日程度の臨時的任用職員に対するものであるので、違法になる、と判示し、この件の臨時職員への賞与は違法だという点では一二審と同じ判断をしましたが、一般論としては、一二審とは違って、臨時職員への賞与が許される場合のあることを示し、その要件を明らかにしました。
そして、この事件では、支給は違法だが、市長が、そのような一時金を支給することの適法性について疑義があるとして調査をしなかったことに過失があるとは言えないとして、二審判決を破棄し、住民を敗訴させました。
この件も、最高裁判所の見解は、一審と二審の判決とで違います。
本コラム「行政12」で紹介した事件もそうですが、これらの事件を見る限り、最高裁判所は、自治体の判断に、一二審ほど厳しい姿勢は見せていないようです。