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行政 2 たかが勧告と言うなかれ(行政指導でも取消訴訟の対象になる場合)

菊池捷男

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テーマ:地方行政


行政指導とは、行政手続法2条の定義規定6号で「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。」と定義されていますが、ここに、「処分に該当しない」とは、相手方に対し法的拘束力を有しない、という意味です。

このように、行政処分には、相手方に対する拘束力はありませんので、処分取り消し訴訟の対象にはなり得ない、とされていました。
ところが、最高裁判所平成17.10.25判決は、
病院の開設を計画していた者が、県知事に対し、病院開設の許可の申請をしたところ、知事より、医療法に基づき病床数を削減するよう勧告された件で、要旨、次のように述べて、行政指導でしかない勧告も、このケースでは、取消訴訟の対象になる、と判示しました。

すなわち、最高裁は、要旨、「①病院開設者は、県知事の勧告に従う義務はない。②県知事も勧告拒否を理由に病院開設を不許可に出来ない。③しかし健康保険法では、医療法に基づく病院の開設に関する勧告を受けた者がそれに従わないときには、保険医療機関の指定が得られないことになっている。④であるから、この勧告は,病院開設者に不利益な効果を招来するので、行政処分当たるというべきである。」と判示したのです。

この最高裁の判決まで、行政指導は取消訴訟の対象にはならないという認識が一般的でした。ですから、以前なら、勧告には拘束力はない、つまり「処分生」はない。だから、勧告を取り消す利益はない。将来保健医療機関の指定を受けることができない結果になったときは、そのときに保健医療指定拒否処分の取消訴訟を起こせるじゃないか。だから、勧告の取消訴訟は認められない、という結論になっていたのです。
要は、平成17年4月1日施行の改正行政事件訴訟法以降、行政訴訟が大きく変化してきているのです。

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菊池捷男(弁護士)

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