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相続 4 法定相続分と均分相続

菊池捷男

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法定相続分
法定相続分とは、法律(民法)が定めている相続分のことですが、
これは、相続人が誰になるかによって変わります。
法定相続分は、
配偶者と第1位の相続人が相続する場合は、配偶者1/2と子とその代襲者全員で1/2
配偶者と第2位の相続人が相続する場合は、配偶者2/3と直系尊属全員で1/3
配偶者と第3位の相続人が相続する場合は、配偶者3/4と兄弟姉妹とその代襲者全員で1/4になります(民法900条)。

均分相続
民法900条は、「子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。」と定めていますが、これが均分相続と呼ばれるものです。

歴史的には、均分相続という言葉は、諸子均分相続を意味しています。

均分相続の例外
同じ民法900条は、但し書きで、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の1/2とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の1/2とする。」と定めていますので、均分相続に例外を設けているのです。
例外の1は、同じ子でありながら、嫡出子(法律上の婚姻関係ある男女の間で生まれた子。言わば正妻の子)と非嫡出子(婚姻関係にない男女の間に生まれた子、昔流の言い方では妾腹の子あるいは庶子)の間に倍半分の差を設けているのです。
これは憲法14条の法の下の平等に反するのではないかという議論があるところですが、最高裁は平成7年7月5日大法廷で、婚姻関係の保護のためにこの差別は許されるという判断を示しています。しかし、この裁判では15人の裁判官のうち、5人の裁判官が反対意見を書いています。
その後も、最高裁は3回小法廷で、この差別的扱いは合憲であるとの判断をしていますが、そのいずれの事案でも5人の裁判官のうち2人の裁判官が反対意見を書いていますので、将来的にはどうなるか分かりません。
なお、例外の2である、「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の1/2とする」との規定については、議論されていませんので、この制度は国民に広く受け入れられていると言って良いでしょう。

均分相続の歴史
我が国では、昭和22年の民法改正で「家督相続制度」が廃され、諸子共同均分相続となりましたが、それ以前は、一子相続だったのです。
古くは鎌倉幕府の時代に遡りますが、鎌倉幕府は所領を諸子に分割しながら長子1人がその全所領の上に知行の権をもつ「総領制」を採用し長子に管理統括権を与え、室町幕府になると長子の単独相続制になり、江戸時代になると、武士は私領を許されず恩給の封地を給されるが当主が死亡するといったんその所領は召し上げられ君恩によって跡目相続人に再支給されるにすぎなくなり、その跡目相続は長男相続制になったのです。
そして、明治時代に入り、長子が単独で全財産を相続する「家督制度」が採用になり、二男、三男には「カマドの灰一握りも分けられることはない」ことになったのです。
外国でも、古くは、似たり寄ったりの一子相続が原則でした。
一子相続の利点としては、家族を結束させ戦争集団を作れたこと、田畑、耕地を細分化しないで耕作できたことなどがあったようです。
ですから、諸子均分相続は、歴史的には、ごく最近になって採用された制度なのです。

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