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コラム

相続税基礎控除引き下げによる申告義務者の増大

2017年4月10日

テーマ:資産税務

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 相続 手続き相続税

相続税の基礎控除が2015年より引き下げられ、今まで相続税の申告とは無縁であったサラリーマン家庭でも、申告が必要な場合が増加しています。いくら財産があると相続税の申告が必要となるのでしょうか。

これまでの相続税の基礎控除は「5000万円+1000万円×法定相続人の数」でした。例えば4名家族の家庭で、父に相続が発生し、相続人が母と子供2名の場合は、5000万円×1000万円×3=8000万円が基礎控除でした。サラリーマン家庭の例で、自宅と退職金と今までの貯金といった資産内容だと、相続税の基礎控除を超えないケースが多かったですが、2015年より基礎控除が40%引き下げ「3000万円+600万円×法定相続人の数」となり、上記の家族構成の場合、3000万円×600万円×3=4800万円になります。
この場合、上記のような家庭でも、自宅の評価額によっては、相続税の申告義務が発生することがあります。

まず、相続が発生した場合に申告の必要があるか、現時点で試算しておくことをお勧めします。国税庁ホームページで、「申告要否の簡易判定シート」又は「相続税の申告要否判定コーナー」で申告の要否と概算の税額を計算することができます。

相続税の申告には様々な制度があります。代表的なものをいくつかご紹介します。
①小規模宅地等の特例…亡くなった方の自宅の敷地を配偶者や同居の親族が相続した場合などの要件に該当する場合、330㎡(約100坪)までの宅地について評価額が最大80%減額されます。自宅以外にも不動産賃貸業以外の事業用だと最大400㎡まで80%減額される場合、不動産賃貸業の宅地の場合は最大200㎡まで50%減額される場合があります。
②配偶者の税額軽減…配偶者が相続した遺産が16000万円又は相続財産の2分の1までのうちどちらか多い金額までは相続税がかからない特例です。
③生命保険金の非課税特例…被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。受取人が相続人(相続を放棄した方などは除きます)である場合は、基礎控除とは別に非課税枠「500万円×法定相続人の数=非課税限度額」が設けられています。
④相続人のなかに障害者や未成年者がいる場合も別途税額控除の規定があります。

上記①と②については、これらの特例を適用して相続税がかからない場合にも申告をする条件で適用されます。したがって相続税が0円の申告書も多く提出されております。
また、不動産を複数所有している場合は、相続発生後に死亡した方の情報はその方の固定資産税の所有明細と合わせて税務署へ報告されていると言われております。したがって不動産を複数所有している方にも税務署から相続税の申告のお知らせが届くことはあります。

このような制度を含めて相続税がどれくらい課税されるか、相続財産のなかで支払ができるかを事前に確認しておくと、後で慌てずに済むのではないでしょうか。

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